アニメ診断をやっている身ながら、「コードギアスみたいなアニメを教えて」と言われても、たぶん困る。
ロボットが出てくる作品ならある。 頭のいい主人公が戦略で戦う作品もある。 特殊能力を使って逆転する作品もある。 国家や戦争を扱った作品も、人間関係がぐちゃぐちゃになっていく作品もある。
でも、それを全部混ぜてコードギアスみたいになるかと言われると、ならない。 むしろJevに「コードギアスみたいな作品を教えて」と聞いてみたいくらいだ。何を返してくるのかちょっと気になる。
最初は、もっと分かりやすい逆転劇だと思っていた
見る前は正直もっと単純な作品だと思っていた。
巨大な帝国に支配された日本。そこに現れる、仮面をかぶった反逆者。
タイトルも反逆のルルーシュとちょっと狙いすぎな感もあり、はいはい、圧制をひっくり返す逆転劇ね、強いロボットでてくるのね、わかりやす。くらいにおもってた。 何も分かりやすくなかった。
むしろコードギアスは、いろんな人の立場と感情と目的が絡み合った混沌の中で、ルルーシュが必死にもがきながら勝利への道を探し続ける物語だった。
そもそも主人公のルルーシュからしてややこしい。
表向きはアッシュフォード学園に通う高校生。しかし本当は、世界を支配する神聖ブリタニア帝国の皇子。
初めははいはい皇子皇子、って感じだった。割とそういう生まれがチート系は好きではない。
ところがこの設定、全然役に立たない。 本当にびっくりするくらい役に立たない。
母を失い、父である皇帝には見捨てられ、日本へ送られ、今では身分を隠して生きている。
皇子であることが武器になるどころか、下手に正体が知られたら面倒が増える。
皇子なのに。むしろちょっと不利になっている。 なんでコイツこんな不遇な環境なんだ、というところから物語が始まる。
そんなルルーシュがC.C.と出会い、手に入れるのがギアス。
ルルーシュのギアスは、相手に命令を強制できる「絶対遵守」の力だ。
ここからようやく彼には、巨大な帝国に対抗できるカードが与えられる。
でも、個人的に好きなのは、「ギアスがなくてもやるつもりだった」というところ。フカしすぎでしょ。ちょっとしびれる。
他人を制約させるチート能力を手に入れて人生が変わった主人公というより、 もともと世界を相手に戦う覚悟を決めていた人間に、ようやく武器が与えられた、という感じがする。
しかもルルーシュは、能力だけで勝っていく主人公でもない。チェスを思わせる戦略、情報操作、演説、組織作り、交渉、ハッタリ。「ゼロ」という存在そのものを演出して、人の心まで動かしていく。 黒の騎士団を率いるようになってからは、戦場で勝つだけではなく、「ゼロという存在をどう見せるか」まで戦略の一部になっていく。ここが本当に面白い。 制作側も、最初からルルーシュを典型的な「正義の主人公」にするつもりはなかったらしい。
正しい方法だけを選ぶ主人公ではない。 目的のためなら嘘もつくし、人を利用するし、ときにはかなり危うい選択もする。だからこそ、次に何をやるのか分からない。
みんな自分なりの事情があって、自分なりの正しさがある。
だから後半へ進むほど、人間関係がものすごい勢いでこじれていく。 気付けばロボットより、人間をみることに夢中になっていく。ロボットアニメじゃないよ。これ。
まあでもロボットもちゃんとかっこいい。
コードギアスにはナイトメアフレームというロボット兵器が出てくる。 厳密には、ロボットじゃない。いやロボかもしれないが。公式で「人型自在戦闘装甲騎」と呼ばれている。 ちなみにKnightmareの「mare」は悪夢のNightmareではなく、Knight+mare(騎士+雌馬)。だから搭乗することも「騎乗」と呼ぶらしい。へえ。
他のよくあるロボットと違うのは、ランドスピナーという特徴的なローラーが脚部についており、これで滑るように疾走する。 このタイプはあまり見たことなかった。ボトムズとかがそうか? 二足歩行でドスドス走るのではなく、脚部の車輪で地面を滑るように疾走するおかげで、動きがめちゃくちゃ速いし、戦闘シーンにも独特の軽快さがある。
量産型はいかにも無骨な見た目で、しかしサイズは結構小さい。ブリタニア軍の代表的な量産機サザーランドは、全高4.39m、戦闘重量7.48t。 ガンダムみたいな18m級の巨大ロボットを想像すると、かなり小柄だ。 そういうところをみると、荒廃してインフラが破損した占拠地での活動に適していたりと、妙に現実的だ。 スーパーロボットよりは、リアルロボット寄り。
ただし、後半になると第〇世代と世代があがっていき、どんどん高性能な機体が登場する。そこも推せるポイントだ。 紅蓮聖天八極式などは登場時はちょっと震えた。オタクはああいうのに弱い。
コードギアスは人物劇
ルルーシュ。 スザク。 C.C.。
そこはいわずもがな。 オレンジや、藤堂。玉城にロロ。シンクーもそうだし、卜部さんとかも好き。
みんなそれぞれ癖があるけど、みんな自分を持っていて、それがしっかり、かっこいい。 や、すごい変わってるキャラばかりだとは思うんだけど。 制作スタッフも、コードギアスには歌舞伎や宝塚のような「様式美」「ケレン味」を意識して入れていたと語っている。なるほどなと思う。
癖つよすぎだろ、とは思うけど、むしろこれでいいんだよ、と押し切られている感もあり、それもそれで楽しい。
そんな魅力的なキャラたちが、苦境に立たされ少しずつ壊れていくのもまた愛おしい。つらい。 決して悪い人たちばかりじゃない。むしろ、幸せになってほしい人ばっかり出てくる。
なのに、立場や環境や、ちょっとした判断の違いで関係がすれ違っていく。
そしてコードギアスは、そのすれ違いを「まあ後で仲直りするよね」で済ませてくれない。ふつうに致命的な事になる。 間違えたら、本当に取り返しがつかなくなる。
ルルーシュ自身も、何度も何度も間違える。間違えるたびに後悔する。 ものすごく頭がいい筈なのに、それでもうまくいかない。 想定外のことが起こる。感情に振り回される。判断を誤る。 自分で選んだ行動によって追い詰められて、そして、その結果を背負わされる。
ここが好きだった。
頭脳派主人公だから全部計算通りに進む話じゃない。
むしろルルーシュの計画なんて、ずっと何かに邪魔され続けている。
それでも、引き返さない。致命的な間違いや、取り返しのつかない過ちを経ても、それでも前へ進んでいくしかないと決めたのだ そんなルルーシュをみていると、家でぬくぬくとアニメを見ている自分がなんだか少し恥ずかしくなった。
人生、生きなきゃな。って思わされた。 アニメを見てそんなことを考えるとは思わなかったな。ウケる。
とにかく「次」が気になる
あと、コードギアスを語るならこれも外せない。 めちゃくちゃ続きが気になる。放送当時は来週が待てなかった。
制作側も、各話の最後には必ず「次を見たくなる引き」を作ることを意識していたという。でしょうね。
今から見る人は大抵アマプラとかDアニメストアだと思うが、「今日は2話だけ見よう」と思ってコードギアスを見るのは危険だ。 大抵やめられなくなる。 そういう時は、やめない方がいい。結局もんもんとしてしまうので、覚悟を決めて一気に見ることをおすすめしている。
あまり書くとネタバレになってしまうのでこれくらいにしておこう。結末について詳しく書くつもりはない。 初めて見るなら、できるだけ何も知らない状態で最後まで見てほしい。
ただ、いわゆる単純なハッピーエンドではない。 人によっては、後味がいい作品とは言い切れないと思う。 それでも私は好きだ。
こんなにも登場人物の気持ちに寄り添って、「どうか幸せになってくれ」と思いながら見たアニメは、私にはあまりない。
みんな幸せになってくれ。
本当に。
良い物語だった。また見たい。